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━━御社の創業は1976年とありますが?
前嶋丈浩(代表取締役社長) 会社組織にしたのはその年で、創業は戦後、私の祖父が富士宮の本町通りではじめた自転車屋まで遡ります。
実は戦前は米屋だったのですが、戦後、祖父が「これからは自転車だ」と、販売や修理など人を使って、ほそぼそとやっていたようです。
本格的に商売を始めたのは、父が学校を卒業後、東京の自転車屋で丁稚奉公をし、帰って来てからでしょうね。時代の流れとともに、
自転車に加えオートバイを扱いようになりました。当時、オートバイメーカーは日本に100社以上あったようですが、その中からホンダを選んだ。
その理由はエンジンだったようです。ホンダのエンジンは他社に比べ複雑ですが、一度覚えると、分解がスムーズにできるなど、
他社に比べ秀でたところがあったようです。 ━━ まさに日本のモータリーゼーションの歴史がそのまま会社の歴史といった感じですね。
前嶋 そうです、自動車だけにうまく乗っかってきた、というわけですね。そしてその次の分岐点がホンダの販売店系列の分離ですね。
1980年代に入り、それまで全国に点在していたホンダの販売店が軽自動車の「プリモ」、スポーツ車の「ベルノ」、
そして高級車の「クリオ」の3つに分かれました。その時、うちの店が地区の中で売上がトップということもあり「クリオ」になり、
社名も「ホンダ・クリオ」になりました。単価の高い車を売れるということが、後々の発展に寄与しましたね。 ━━ 最近の車を取り巻く事情はいかがですか?
━━ 生き残り策も大変なのでは。
前嶋 おっしゃる通りですね。概念的な話になってしまいますが、付加価値をいかにつけていくか、これに尽きるでしょう。
今まではお店があって、メーカーから来た車を、欲しいとおっしゃるお客様にお渡ししていたわけですが、
これからはそれだけではないお店を作ることが大事なのでは。そのために何をするのかということですが、一つは地域とのつながりを大事にする、
ということでしょう。その一環として年一回、8月の最後の土日に「まごころ感謝祭」を開いております。今年で12回目になります。
その日は3店舗すべてが商売抜き。車を片付け、焼きソバや野菜の安売り、さらには射的コーナーや、ネール・アートなど、
お客様と社員が一緒になって楽しめるような催しです。 ━━ 中学生を対象にした「職業体験」も実践されていますね。
前嶋 地元の青年会議所(JC)の発案で昨年からはじまりました。秋の1日、10人程度の中学生が私どものお店を訪問、整備工場や、
事務仕事を1日体験するわけです。我々としては、中学生の皆さんに楽しんで仕事体験してもらいたい、という気持ちはもちろんですが、
それ以上に、対応する社員も何かを感じ取って欲しいと思っています。自分たちの仕事が、中学生に受け入れられる中で、社会に何らかの影響を与えている、
ということが分かれば、また仕事に対する意気込みも違ってくるのではないでしょうか。 ━━ どんなお話しをなさるのですか。
前嶋 テーマはリーダーシップです。例えば教室に30人程度のお子さんがいれば、「今からグループ作りをします」といって、
5人程度のグループに分けます。その時「チームに分けるにはリーダーが必要です。自分がリーダーをやってみたいと思う人は手を上げてください」という。
━━ まさに会社経営そのものですね。
前嶋 おっしゃるとおりですね(笑い)。でも中学生にお話しし、その反応を見たりしていると、自分の気持ちが高まってくるのが分かり、
すごく楽しいですよ。 清掃活動がもたらす、本業への相乗効果
前嶋 これは実は少なからず富士山が関係しているようです。韓国は車を売るお店と、その車の整備をするところが完全に分かれているようです。
そのうち整備を担当する会社の人々が、年4回から5回、日本各地を観光を兼ねて、ディーラーなどに視察に来ます。
━━ ところで、その富士山のお話しですが、最近、富士山が世界遺産に登録されるかどうかなどを含め、話題になることが多いようですが、最近の富士山の現状をどう思われますか。
前嶋 富士山が世界遺産になると我々地元の人間は住みにくくなる、という意見もあるのも事実です。確かに世界遺産になり、
それに伴う規制があったりしたとき、我々はこれまで同様、富士山と共存していけるのだろうか。負担にならないか、といわれたりしてもいます。 ━━ では、富士山クラブに入会されたきっかけは。
早速、事務局に電話をしてみたら、「今度、清掃活動がありますから、 参加されませんか」と言われたのが、入会のきっかけでしょう。といっても最初は参加したのは私だけでしたが。 それからは少しずつ社員が参加するようになりました。その後、会社の会議で企業として富士山クラブを応援することを提案し、賛同を得られ今にいたっています。 ━━ 御社、独自にも清掃活動を続けられているようで。
前田 富士山クラブのイベントは土日が中心ですが、実は我々の仕事は土日が忙しいので、平日に会社単独で、毎回15人程度の社員が集まり、
清掃活動を行っています。最初は張り切って5月から10月にかけて月1回行っていましたが、さすがに夏は暑いし、
草が生えポイ捨てされたゴミが見えないなどの理由から、今は初夏と秋に計4回、行っています。参加人員は社員中心ですが、
最近は取引業者さんにもお声をおかけしています。 ━━ これも地域社会への貢献ですね。
しかし、自らゴミを拾ってみると、ふだんもまったくゴミを捨てなくなりました。多分、 社員も同じなのでは。結局ゴミを拾うことが目的ではなく、精神的な運動を広めて、そこから環境問題などを考えるきっかけになるのが、ゴミ拾いなのでは。 言い換えれば、「自己啓発と地域社会への貢献」は一直線上にあるのではと思います。地域社会に貢献することを自分達の喜びと考え、 それらの行為から自分の中にあるものに気がつくことが、理想ではないかと思っています。 ━━ 富士山への活動が、本業にいい影響を与えているようでね。
前嶋 おっしゃるとおりですね。KSK(環境整備会議)運動などもそのひとつでしょう。わが社は、様々なことを社員で構成する委員会で決め、
いわば社長の私は最後の決断と責任をとる方式にしたいと思っています。その委員会の一つがKSKです。 ━━ 最後に富士山クラブに対するご要望などございましたら、お聞きしたいのですが。
前嶋 富士山クラブの清掃活動は素晴らしいことと思っています。しかしそれ以前にゴミを捨てない、
捨てさせないキャンペーンみたいなことができないですかね。というのも、我々が一生懸命ゴミを拾っても、2、3ヶ月経つとまたゴミが捨てられているところが多い。ですから富士山クラブとして、もう少し公共団体などに「ゴミ捨て防止」などを訴えていけないものかと思いますね。
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