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団体会員トップに聞く Vol.07

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株式会社エアロ・フォト・センター 野崎吉信社長

3次元写真に託す、すべての生き物との共存の思い
入会のきっかけも、たまたま作った富士のビデオから

株式会社エアロ・フォト・センター 野崎吉信 社長株式会社エアロ・フォト・センター
野崎吉信 社長
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ホームページを拝見させて、いただきましたが、いまひとつ、御社の業務内容が分かりません。ずばり何をされている会社なのですか。
野崎
確かに一般の方には分かりにくいでしょうね。弊社は今年がちょうど、創立25年になります。そもそもある大手の航空写真測量会社の中に写真関係の処理を行う部署(写真課)がありましてそれを分社化したのが弊社のはじまりです。ですから業務内容を一言で言えば航空写真を処理・加工している会社と言えばいいのでしょう。実際に航空写真を撮るのは、航空写真撮影を専門に行っている会社ですが、そこで撮影されたフィルムが現像されてからが弊社の仕事です。

写真処理・加工の工程

撮影

(1)撮影

フィルム読込

(2)フィルム読込

デジタルオルソ加工

(3)デジタルオルソ加工

焼付

(4)焼付

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もう少し、業務内容を詳しくご説明いただけますか。
野崎
まず航空写真を撮影するときは、飛行機が対象となる地域の真上を、オーバーラップさせながら、一枚一枚撮影するための撮影計画を行います。撮影計画とは飛行機に備え付けたカメラのシャッターを押す位置を決める作業です。その計画通り飛行機が上空で撮影し、撮影されたフィルムが現像されて弊社に送られてきます。フィルムと言っても一般的に使われる35mmのフィルムとは違い、幅は24センチ,長さは60mにもなる物です。その巨大なフィルムから1m四方の大きな印画紙に引き伸したり、ちょっと専門的ですが、「オルソ写真」に加工などしています、オルソ写真とは、「写真に写りこんでいる情報の大きさや位置を正しい場所に移動させた画像」のことです、たとえば壇上から客席を見た場合、近くの人は大きく、遠くの人は小さく見えます、航空写真の場合でも標高が高いところは飛行機から近いため大きく写り、標高が低いところは小さく写ります。このような中心投影の写真を、コンピューターで処理し、地図と同じように正しい位置に正しい大きさで並び替え正射投影の写真にすることを言います。創業時の25年前は、当然のことながらコンピューターでこのようなオルソ処理は出来ませんので、一枚一枚の写真を焼き付けて現像していました。よく市役所などに、市の全域を上空から、撮った写真がパネルなどにして張ってありますよね。弊社の製品もそのようなものでした。
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創業から25年、その間順調でしたか。
野崎
はい、順調でした。それだけに、私が社長になったこれからが心配です(笑い)。それは冗談としても、我々の仕事は公共事業がほとんどですので、ご多聞にもれず、仕事は減少傾向にあります。そんな中で、デジタル化に他社に先がけて取り組み、技術と設備を充実させたことで、大量かつ多方面の処理が可能になりました。特に最近は、地図上に現実社会のさまざまな情報を盛り込み、位置と情報を関連づけてデータベース化し、パソコンなどで仮想空間として再現させる、「グーグル・アース」のような「地理情報システム(GIS)」が、盛んに利用されています。このようなGISの世界では、写真のデジタル化技術は欠かせません。
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ところで、御社の製品はどんなところ使われているのですか。
野崎
まず公共事業を行う中央官庁から県、さらには市町村が多いですね。例えば都市の再開発や道路計画などを行う場合、まずは測量を行います。その測量の中の、写真測量関連の仕事の一部を担当します。ちなみに、我々の制作した写真を元に、地形図が作られ、詳細な設計が行われ着工となるわけです。関東近県では天気が安定して空が澄んでいる、年末からお正月にかけたくさんの航空写真を撮影しますので、皆さんの家の上空を何度も往復している軽飛行機を見かけたら弊社のことを思い出してください(笑い)。
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お仕事は、航空写真だけなのですか。地上で撮った写真を加工することはないのですか。
野崎
衛星写真の処理等もやりますが、それ以外、地上で撮った写真はあまりやらないですね。航空写真のフィルムは、先にもお話ししたとおり、通常に比べ大きいサイズです。長さも60メートルもあります。ですから普通の写真屋さんでは焼付けはもちろん、現像も出来ません。そのための機材も大きく、特殊なものがほとんどです。実は事務所をここ(立川市)に構えているのも、そんな大きな機材の場所を確保するためです。ビルのオーナーが天井をぶち抜くなど、機材設置のための改造を許してくれたからです。
3D写真パネルは富士山クラブ各事務所に展示されている3D写真パネルは富士山クラブ各事務所に展示されている
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立体というか、いわゆる三次元映像も作られていますね。富士山クラブの事務所や、森の学校には御社が作成した富士山の三次元写真があります。
野崎
実は2002年に、弊社の三次元技術を宣伝するためのサンプル映像を作ろうと思いました。その被写体を何にするか考えたとき、やはり日本の象徴である富士山しかないと思い、航空撮影会社に撮影を依頼したのです。富士山周辺の撮影は非常に難しく、通常一年かかっても撮れるかわからないような写真ですが、ラッキーな事に非常に良い撮影チャンスに恵まれ一週間で撮影できました。まさかその映像が富士山クラブに入会するきっかけになるとは、その時は思いませんでしたがね。
環境教育教材として、学校など教育現場で活用されているCDロム環境教育教材として、学校など教育現場で活用されているCDロム
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と、言いますと?
野崎
たまたまですが、富士学会の西川治会長とお知り合いだった方から、西川会長から「富士を素材にしたコンテンツを持ってないか」といわれ、「それなら野崎の会社が富士山の素材を持っているから作らせる」となり、弊社が、富士山の画像をもとに、10分程度のコンピュターグラフィックを作って学会で流しました。それを学会に来ていた富士山クラブのスタッフに、「面白い」と評価され、なにか作ろうという話しになりました。その時、たまたま独立行政法人・国立オリンピック記念青少年総合センターが「子どもゆめ基金」で、子ども向けのデジタル教材作成の助成先を募集していましたので、それに応募。幸いにも採用され、その助成金で、2枚のCD‐ROM「富士山もりの学校」と、「富士山学習デジタルブック」を制作しました。これがきっかけで、富士山クラブへ入会しました。さらに、富士山クラブもりの学校のパソコンでみることができますが、3D画像で富士山や森の中を疑似体験できる教材ソフトも弊社の技術でつくりました。
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ところで最近、世界遺産の暫定登録リストに載るなど、なにかと富士山が話題になりますが、その富士山の現状をどう思いますか。
野崎
富士山に限ったことではないのでしょうが、なんであんなにゴミを捨てるのでしょうね。開発云々は、地元の人たちの思いもあるので、あまり周りからは言えませんが、もっと自然を大切にしてほしいですね。地球上は、人間だけが生きているわけではありません。動物も植物もみな生きられるような環境にしていかなければいけないのに、人間が一番壊している。でも元に戻せるのも人間で、人間の責任として戻さなければいけないと思います。なにはともあれ、動物も植物も生きているすべてのものが、共存できる環境を大事にしたいですね。
社屋(東京・立川市)からはもちろん富士山が見え、社長は0mから山頂まで歩くほど富士山好き社屋(東京・立川市)からはもちろん富士山が見え、社長は0mから山頂まで歩くほど富士山好き
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社長個人の富士山への思いは。
野崎
私は出身が山梨ですから、もともと富士山は大好きです。小学校のころなど、河口湖などにスケートに行ったとき見る富士山の圧倒的な大きさに感動していました。でも私の生まれた上野原では、山に囲まれているので山頂付近し見えないのです。ですから子どもたちにも雄大な富士を見せたいと思い、娘二人がまだ小さかったころ、朝暗いうちに寝ている二人を毛布にくるみ車に乗せ、山中湖あたりまで行き、日の出とともに朝日に赤く染まる富士山を「ほぅら、富士山だぞ」と見せるために、よく通いましたね。
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最後に富士山クラブへのご提言がありましたら、是非お聞かせください。
野崎
提言というほどのものではありませんが、以前富士山クラブの森の学校で行っていた冬のフィールドサインのツアーがすごく好きですね。個人的にはなかなかいけない場所や、知識がないと発見できないことも、ガイドしていただき、雪の上の動物の足跡をみつけ動物が生きている証を探すことで、動物の存在、さらには富士山の現状が良くわかります。是非、富士山クラブでこのような富士山の自然が体験できる企画を、もっと増やしてほしいですね。そうすれば、皆さんの気持ちも自然と環境の方に向いてくれるのではないでしょうか。

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株式会社エアロ・フォト・センター

最終更新日  2010年4月13日