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年末のごあいさつ

年末のごあいさつ

早いもので今年も1年が過ぎ去ろうとしています。今年はコロナ禍も少しずつ落ち着き、海外からのインバウンドもコロナ前の水準に戻ってきました。皆さまとは今年、不法投棄現場の鳴沢村焼間地区での廃棄物の掘り起こしや、河口湖アレチウリ一掃作戦、山梨県立富士山世界遺産センター周辺でのぐるり富士山風景街道一周清掃、富士スバルライン5合目での外来植物駆除活動、富士宮市山宮地区の放棄資材の撤去作業(富士山クリーンプロジェクト)等々でご一緒に活動させていただき、たいへんありがとうございました。皆さんとともに、富士山を少しでも美しくすることに貢献できていましたら幸甚です。

さて、富士山はUNESCOの世界文化遺産に登録されて今年10周年を迎えました。私自身も招かれて都内での山梨、静岡県共催の記念式典に参加したり、静岡県の川勝知事、近藤元文化庁長官にインタビューする機会等を得ましたが、共通して感じたのは、「文化」や「観光」の繁栄の底流、基層は、まさに私たちや皆さんが慈しみ、育んできた「美しい自然」だということです。

この自然を、私たち市民や地域、自治体、国や企業など多くのステークホルダーが共通して守り続けなければ「文化遺産」そのものの価値も棄損しかねないのです。

今年もロシアによるウクライナ侵略は膠着状態が続き、ハマスの砲撃に端を発したイスラエルによる報復戦争も起きています。「戦争こそ最大の環境破壊」という多くの賢人の教訓は生かされるどころか、一顧だにされない風潮がまん延しつつあるようです。最近、UNEP(国連環境計画)は、世界的な環境対策の後退で、2022年の温室効果ガス量が過去最大となり、パリ協定が目指した今世紀末までに「気温上昇を1.5(産業革命前比)に抑える」との目標は無理で、約2倍の2.8度になるとの暗い見通しも発表しました。

こうした状況だからこそ、富士山の水と緑と命を守る私たちの役割は、一層大きくなりつつあると感じております。今年世界文化遺産10周年を迎え、内外から多くの観光客が訪れている富士山は、新たな課題に直面しつつあります。こうした状況を受けて来年は、今問題視されている「オーバーツーリズム」や生物多様性保全、森づくりの重要性など富士山にも関わる課題にさらに積極的に、多面的に取り組んでいく予定です。

今年1年、改めて当クラブの活動を支えてくださった会員はじめ企業や自治体、国、各団体、理事、職員、関係者すべての皆さまに重ねて感謝申し上げます。

どうぞ穏やかで健やかな年末、年始をお過ごしください。

富士山クラブ事務局長 七井辰男

最終更新日  2023年12月26日