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ごみ問題は今

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富士山のごみ問題は、今どうなっているの?

ごみ問題は今

「富士山が世界自然遺産になれないのはごみのせい」という言葉が世間に広まってから随分と経ちますね。富士山周辺は年間3000万人の観光客を集め、五合目を訪れる人も年間300万人以上にのぼります。さらに、年間30万人が登山するという、日本一、いや世界一ポピュラーな山でもあります。訪れる人々も登山者や家族連れだけでなく、最近では外国からのビジターの姿も多く見られます。それだけに、たくさんのごみが出ているのは事実です。

でも、富士山の五合目以上、つまり登山者が多く利用する登山道周辺では、ごみをみかけることはほとんどなくなっています。ボランティアや山小屋の方々の努力によって清掃が行なわれ、ごみが取り除かれました。何よりも、登山者自身がごみを捨てず、ごみ袋を携行して持ち帰るというマナーが徹底してきたためでもあります。青木が原の遊歩道を歩いてみても、ほとんどごみがないことに驚かれるでしょう。

ごみ問題は今

しかし、残念ながらそれ以外の道路わきには、数多くの様々な「ポイ捨てごみ」が少なくないことに気づかれるでしょう。富士山の山麓や富士五湖には国道や県道、細い林道に至るまで、道路が網の目のように通っています。こうした道路のすぐ側には、紙くずやたばこの吸い殻、空き缶、ペットボトルなどが散乱しているのが目につきます。

問題はポイ捨てごみだけではありませんでした。まだ、公害問題や産業廃棄物などの問題に関心が低かった昭和40年代以前には、心無い業者や観光客、そして一部の地元住民によって、山麓の林の中や青木が原樹海などに、ごみが投棄されていました。ダンプカーなどでまとめて捨てられていったと思われる建設廃材や一般廃棄物、自動車やタイヤ、ブリキ缶から乾電池、そしておもちゃや家庭用品などに至るまで、多くのごみが樹海の中の穴や沢などから見つかっています。家電リサイクル法が施行されてから捨てられたとみられる家電4品目(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機)やパソコンの不法投棄もあります。

ごみ問題は今

かつては、PCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を含む製品が珍しくはなく、乾電池などには水銀が使われていました。過去に投棄されたこれらの危険物質は、何十年もの間、雨によって流れでて、土壌や水を汚染続けてきました。かつては日本を代表する名水だった忍野八海の水も、今は飲むことが勧められません。また、分解しないプラスチック類や割れたガラス片などが、森のリスやモグラなど、多様な野生動物を危険にさらしています。

こうした山麓のごみも、富士山クラブやその他のボランティア団体、地元の人たちの手で、かなり減ってきています。特に大型のごみは、大分取り除かれてきました。それでも、大勢で入れないような林のなかなどには、取りきれていないごみが残されているというのが現状です。富士山のごみ問題は解決に向かって大きく前進しましたが、まだ、ゴールにたどり着いてはいません。

最終更新日  2018年11月 8日