富士山の森では、植物の垂直分布という多様な生態系の中で、単独峰、活火山であることや台風や雪崩などの厳しい気象条件に起因した様々な撹乱がさらに多様な生態系を作り出しています。
しかしながら、人間の社会活動が引き金となっている地球温暖化の影響もあり、その生態系のバランスが崩れつつあります。
例えば、地球温暖化による植物の環境適地の変化、ニホンジカの爆発的な増加による林床植生の消失・単純化、樹皮剥ぎによる樹木の枯死、外来生物による撹乱、マスツーリズムによるオーバーユースに起因した踏圧被害の拡大など、森林生態系の劣化を要因に森林更新が妨げられることが心配されます。
「美しい富士山を子どもたちに残していく」ミッションのためには、多様な生態系の保護・保全なくしては成し得ません。そこで、我々富士山クラブは、富士山クラブ宣言に基づき、富士山が育んできた多様な生態系の復元・保全を目的とした森林保全活動を設立当初から行ってきました。
主な活動を紹介します。
富士山南斜面には伐採・開発を免れて残された貴重な天然林があり、たくさんの草花やきのこ、動物や虫たちなどが生息する多様な生態系を構成しています。その森の中で数百年という永い年月をかけて成長してきた巨木が数多く生育しています。
この巨木の樹種と成育環境を調査することにより、富士山南斜面の森林を復元するための基礎データとしたいと考え、2005年より富士山南面森林調査を開始しました。
調査内容は、4~5人1班でチームを作り、最大2班体制で携帯型GPSやレーザー樹高測定機、デジタルカメラなどの最新機器を駆使して、大径木の幹回り・高さ・枝の広がり・土壌の状態・周辺の植物などを事細かに記録しデータ化しています。
集積したデータは、専門家の協力を得ながら研究・分析し、西臼塚協定林をはじめとする、富士山で行われている様々な場所での森づくり活動の方向性を指し示すものとして活用していきたいと考えています。
富士山の南側に広がる森は、平成8年9月に上陸した台風17号によって、国有林、民有林合わせて1,125haの森で根返りや幹折れなど甚大な風倒被害を受けました。平成9年4月には、「富士山の森再生活動推進協議会」が設置されボランティアによる森林再生活動が始まりました。
富士山クラブは、2000年9月、標高1200メートル付近に位置する西臼塚周辺の国有林1.77haを国と協定契約を結び、自然林復元の取り組みを行っています。
活動開始当初は、森の中でドングリを拾い、稚樹を育てることや、静岡森林管理署から苗木を寄付いただき、ブナやミズナラ、ケヤキなど約1800本の植栽を行いました。また、苗木がすくすくと成長できるように、会員やボランティアの協力を得ながら下刈りなどの初期保育作業を実践してきました。
この間、風倒被害にあった森を、人間の手で、自然に近い状態に戻そうという目的で、静岡森林管理署をはじめ、自治体や市民団体、企業が連携して「富士山国有林森づくり連絡協議会」が発足しました。ここでは、意見交換会や共同事業などが企画されており、富士山クラブは加盟各団体との相互交流を図りながら、よりよい森づくりの模索と情報共有を行っています。
現在、富士山クラブの森づくり活動は、初期保育の段階から、自然の回復過程を尊重する育林へシフトしています。協定林内の樹木の位置や樹種、高さなどの基本情報をデータ化し、永い時間をかけて成長を見守っていけるようなGISを活用した仕組みづくりを行っています。
また、緊急課題であるニホンジカやノウサギなど野生動物の調査や食害対策、富士山固有種による自然林回復の検証にも取り組んでいます。
森林保全活動は、富士山クラブの個人会員で、足腰に自信のある方ならどなたでも参加いただけます。活動を通して、富士山が育んできた生の自然を感じていただければと思います。
興味のある方はぜひ富士山クラブ事務局までご連絡ください。
皆様のご参加お待ちしております。