決定 平成16年6月25日
富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会
このガイドラインは、青木ヶ原樹海等の原生的な自然環境を保全し、その適正かつ持続的な利用を図るため、エコツアー等の目的で対象エリアに立ち入る団体、事業者、ツアー参加者等が遵守すべき事項として、保全すべき区域や利用形態等に関し、ルールを定めるものである。
なお、あわせて、このガイドラインにより、青木ヶ原樹海等における質の高いエコツーリズムの推進を図るものとする。
青木ヶ原溶岩流の上に広がる約30平方キロメートルのいわゆる原生林を中心として、大室山から御庭・奥庭までの原生的なエリアを対象とする。
参加者を募って(あるいは「会員等によって」「旅行業者の催行する観光旅行、学校団体旅行や民間団体・公共団体・個人事業者が実施する事業として」)、その参加者を現地に案内、引率し、その自然環境、景観、動植物、生態系を理解・鑑賞または体験させることを内容とするツアー・イベントなどを指す。なお、参加費の有料・無料、参加人員の規模は問わない。
上記(2)「エコツアー」を実施する団体、個人事業者及びその「エコツアー」への参加者(旅行者)とする。
(注1)原生的な自然環境とは = 西暦864年に噴出した青木ヶ原溶岩など、新期溶岩流(約2200 年前以後に噴出した溶岩)を中心に、新・旧期スコリア丘など、富士山の火山活動に強い影響を受けた地形・地質、あるいは気象条件によって形成された、固有性、特殊性、多様性の高い自然環境をいう。
(注2)適正かつ持続的な利用とは = 固有性、特殊性の高い生物種のエリア内からの消滅、それにつながる個体数、生息域の減少、生物多様性の低下、回復に時間のかかる生態系の毀損、特定の生物種の侵入・増加、などを引き起こさない利用をいう。
青木ヶ原樹海等に立ち入りエコツアーを実施する際には、ガイドが必ず同行するものとする。
ガイドは、当該エリアの自然環境や歴史文化等についての豊かな知識と自然保護への深い理解を有し環境教育ができる者でなければならない。
各事業者は、このガイドラインの目的・内容をガイドに熟知させかつ遵守させるよう、責任をもってガイドの研修を行わなくてはならない。
ガイド及び事業者は、ツアーの開始前にエコツアーの参加者に対して、環境への負荷軽減や安全面の心構えなどについて説明を行わなくてはならない。
ガイドは、エコツアー参加者に対して質の高いガイダンスを提供するため、常に、新しい知識や参加者を楽しませる技術の習得など自己啓発に心がけなければならない。
事業者等は、日頃から、ガイドの資質向上を促進するため、各種研修や内部評価の実施に努めなければならない。
多数の人間の立ち入りに伴う踏みつけ等による植生や溶岩地形の損傷を極力防止し、貴重な動植物等の生態系を将来にわたって保全するため、エコツアーに利用できるルート、洞穴は、 別添 詳細図(図-1図-2)及び全体図(図-3)のとおりとする。(ただし、安全面から入洞が禁止されている洞穴を除く。)
青木ヶ原樹海等においてエコツアーを実施する事業者及び団体等は、それぞれ1ルート1日あたりの利用者数の上限を予め設定し、その範囲内で、エコツアーを実施することとする。
各事業者・団体等は、上記により設定した上限利用者数について、予め、関係行政機関等に届け出るとともに、ルート毎の利用実績についても、集計・報告することとする。
繁殖期や越冬期等、生物種によって特に人の影響に対して感受性の高い時期が考えられる場合には、エコツアーを自粛するなど格段の配慮に努めることとする。
1団体(1グループ)あたりの参加人数は、環境への負荷軽減やガイドの掌握力を勘案し、 最大20~25名を目安とする。
1団体(1グループ)あたりのガイドの数は、参加者概ね10名につき1名を目安に配置する。
ガイドは、登山道、整備された遊歩道等、林道等、ブナ広場以外においては原則として参加者を1列で歩かせる。
ガイドは、立ち止まって自然解説を行う際も、参加者に列を崩させたり拡幅させたりしない。
他団体(グループ)とのすれ違い時においても、参加者がルートからはみ出さないよう十分な注意を払う。
夜行性動物への影響、参加者の事故防止のため、夜間のエコツアー実施は、極力控えることとする。
ガイド、事業者は、ルートの目印として、樹木にテープやペイント等によるマーキング行為は絶対しない。
発見したマーキングの痕跡は、その都度取り除くよう心がける。
ガイドは、自身及び参加者がゴミを残さない、持ち込まないよう徹底する。
ガイドは、自身及び参加者がゴミ袋を携行するよう努め、万一ゴミを発見した際には回収を励行する。
ガイドは、動植物の採取、樹木の伐採・枝折り、溶岩・岩石・土壌など一切の自然物の採取を絶対に行わないとともに、参加者に対しても行わせてはならない。
ガイドは、エコツアー実施中に喫煙、飲酒を行わないとともに、参加者にも行わせてはならない。
エリア内においては、定められた場所以外で、たき火、野営を行ってはならない。また、参加者にもその旨徹底させる。
エリア内においては、トイレ以外の場所で、野外排泄は行ってはならない。また、参加者にもその旨徹底させる。
ガイドは、万一の必要に備え、携帯トイレを携行するなど適切な対応を行う。
事業者及びガイドは、参加者の安全対策に万全を期すとともに、富士山の噴火を含めた非常時における危機管理体制を整えておく。
エコツアーの企画・実施にあたり無理な日程設定や危険なメニューの盛り込みは行わない。
事業者は万一の場合に備え、賠償保険等に加入するとともに、参加者に対し、その旨を明示する。
ガイドは、応急手当等の技術を身につけるとともに、救急薬品などを携行する。
参加者にけが人・急病人が出た場合の、地元病院・消防との連携による速やかな救急体制を確保する。
このガイドラインを遵守している事業者・ガイドの証として、エコツアー実施の際、腕章及び名札を付けることにより、事業者・団体名及び身分を明らかにする。
エコツアーを実施している他の事業者・団体等と遭遇した際は、挨拶を交わすなど友好的に接するとともに、相互にこのガイドラインを遵守しているか確認する。
その事業者・団体等が、このガイドラインを知らない場合、その周知に努めるとともに、その団体に関する情報について関係行政機関へ随時連絡する。
青木ヶ原樹海等において、環境保全上不適切な活動・行為(焚き火、野営、採取、不法投棄等)に遭遇した場合は、このガイドラインの内容を説明した上で、誠意ある態度で相手方に対し当該行為の中止を呼びかけるとともに、なるべく早期に関係行政機関へ通報する。
このガイドラインで定めた利用可能なルートを、エコツアー実施のために使用する場合は、事前に入山許可申請書(吉田林務環境部県有林課あて)を提出し、許可を得ることとする。(ただし、精進口登山道や整備された遊歩道林道のみを利用する場合はこの限りでない。)
上記の入山許可にあたり、このガイドラインの遵守を条件とする。
エコツアーの実施に際し、上記許可証の写しを携行する。
各事業者・団体等は、自らが利用しているルート及び溶岩洞穴エリアの保全についてそれぞれ責任を持つとともに、定期的に現場の検証調査を行うなど、エコツアー利用による環境負荷等の影響を常にチェックしなければならない。
上記調査の結果は、遅滞なく関係行政機関等に報告するとともに、環境保全上支障がある場合は、速やかに従前の利用形態を見直すなど改善措置を講ずる。
各事業者・団体等は、利用エリアの環境保全を将来にわたって担保し、よって持続可能なツーリズムを実現するための仕組みを構築しこれを維持するため、エコツアーによる収益の一部を還元していくための取り組みを進めることとする。
各事業者・団体等は、エコツアーの実施を通して、地域の産業や経済活動の活性化に資するよう地域と連携を図るとともに、地域住民を対象としたエコツアーを提供するなど、日頃からその事業活動に対し、十分な理解と協力が得られるよう十分配慮しなければならない。
次のような行為は行わない。
このガイドラインは、平成16年7月1日から施行する。
このガイドラインの対象エリアをエコツアーに利用するため新たに参入する事業者等に対し、関係事業者・団体及び関係行政機関は、常にこのガイドラインの普及・定着に向け、周知・徹底を図ることとする。
エコツアー以外の目的で、このガイドラインの対象エリアに立ち入る団体及び個人に対しても、関係事業者・団体及び関係行政機関は、あらゆる機会を活用し積極的にガイドラインの周知・徹底に努めるものとする。
このガイドラインに違反する行為が確認された事業者・団体等に対してはその是正に向けた適時適切な措置を随時講ずることとする。
特に、違反行為を繰り返すなど悪質な事業者等に対しては、その名称を公表するなどの措置を講じるものとする。
このガイドラインは、現地の自然環境や社会情勢等の変化に応じて、適宜見直しを行い、最新の内容に改訂していくものとする。
このガイドラインの適正かつ実効性ある運用を図るため、遵守体制の確立、新規参入者等への周知・徹底、違反事業者等への措置、ガイドラインの見直し・改訂など、ガイドラインの運用上必要な細則について、関係事業者・団体及び関係行政機関等による協議・推進組織として「富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会」(以下「協議会」という。)を設置する。
協議会の設置要綱は別に定める。
なお、協議会の設置に伴い「富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン策定検討会」は解散する。
富士山青木ヶ原樹海等エコツアーガイドライン推進協議会事務局:山梨県観光部観光資源課
TEL 055-223-1521
山梨県富士北麓・東部地域振興局 吉田林務環境部
TEL 0555-24-9045